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🏮 AI落語 (AI Rakugo)

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演目 Vol.16 ⚖️中堅

死神

Shinigami / The Grim Reaper

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日本語 / ルビ:初級

【まくら】 え〜、一せきもうげますが。なかには、かねがあってもしあわせになれないひともあれば、貧乏びんぼうのどんそこにいても、ふとしたきっかけでうんひらけるというひともございます。今日きょうはそんな、うんのいいんだかわるいんだか、よくわからないおとこはなしひとつ、もうげます。ひとだれしも、いつかはおむかえがる。そのおむかえをこすのが、ほかでもない死神しにがみさまというわけでございますが、この死神しにがみはなしなかではなかなか人間にんげんくさい、面白おもしろいおかたでしてね。

【死神現る】 むかし、あるまちに、うではいいがうん見放みはなされたおとこがおりました。仕事しごともうまくいかず、借金しゃっきんばかりがえて、とうとう今夜こんやくびをくくろうかというところまでめられておりました。とぼとぼと河原かわらまであるいてまいりますと、暗闇くらやみなかに、せた老人ろうじんがぬぼーっとっております。
男:「おまえさんは、一体いったい何者なにものだい」
老人:「わしは死神しにがみだ。おまえいのちねらいにたわけではない。おまえかおていたら、なんだか面白おもしろくなってな」
男:面白おもしろいはないでしょう。こっちはくびをくくろうってときに」
死神:「まあて。おまえかねがほしいだろう」
男:「そりゃあ、のどからるほどしいですよ」
死神:「ならば、いいことをおしえてやろう」

【呪文伝授】 死神:ひとやまいたおれたとき死神しにがみってのはな、かならずその枕元まくらもとにいるもんだ。あたまほうすわっていれば、そいつはもうたすからない。だが、足元あしもとすわっていれば、まだたすけられる」
男:「へえ、足元あしもとすわってたら、たすかるんですかい」
死神:「そのときは、こう呪文じゅもんとなえて、こうやってたたくのよ。『あじゃらもくれん、てけれっつのぱあ』とな。そうすりゃ死神しにがみえて、病人びょうにんはたちどころになおる」
おとこ半信半疑はんしんはんぎとなえてみせると、死神しにがみはにやりとわらって姿すがたしてしまいました。つぎから、おとこはこの呪文じゅもん使つかって、あちこちの病人びょうにんまわることにしたのでございます。

【名医誕生】 それからというもの、おとこは「あの医者いしゃにかかればかならなおる」と評判ひょうばんになり、たちまち江戸中えどじゅう名前なまえわたりました。大名だいみょう大商人おおあきんど屋敷やしきから次々つぎつぎむかえがて、おとこまたた大金持おおがねもちになりました。立派りっぱ屋敷やしきかまえ、綺麗きれい着物きものて、贅沢ぜいたくらしをおくるようになったのでございます。ところが、贅沢ぜいたくれるとはおそろしいもので、おとこはだんだんと欲深よくぶかく、そして横着おうちゃくになってまいりました。

【大金の誘惑】 ある日あるひのこと、れた大商人おおあきんど使つかいがおとずれ、
使いの者:「うちの旦那様だんなさまおもやまいでございます。もしなおしていただけたら、三千両さんぜんりょうげましょう」
もうします。三千両さんぜんりょうといえば、一生いっしょうあそんでらせるほどの大金たいきんおとこいさんで屋敷やしきけつけましたが、寝床ねどこをのぞくと、あんじょう死神しにがみ病人びょうにん枕元まくらもとにちょこんとすわっております。これはもうたすからない、というあかし。しかし三千両さんぜんりょうまえにして、おとこあたまからは色気いろけはなれません。

【寝床を回す】 おとこ一計いっけいあんじました。死神しにがみがふっと居眠いねむりをしてはなしたすきに、屋敷やしきわかしゅうにそっとめいじて、病人びょうにんている布団ふとんごと、そろりそろりと百八十度ひゃくはちじゅうどまわさせたのでございます。死神しにがみましたときには、あべこべに、自分じぶん病人びょうにん足元あしもとすわっていることになっている。おとこはここぞとばかりに呪文じゅもんとなえ、パンとちました。
男:「あじゃらもくれん、てけれっつのぱあ!」
たちまち死神しにがみ姿すがたはかきえ、病人びょうにんはむっくりとがって、すっかり元気げんきになったのでございます。おとこはまんまと三千両さんぜんりょうふところにいたしました。

【蝋燭の洞窟】 そのよるのこと、おとこもと死神しにがみがすうっとあらわれました。そのかおは、これまでとはちがって、なんとも底冷そこびえのするようなしずけさでございます。
死神:「よくもはかったな。ついてこい」
がつくとおとこは、見渡みわたかぎ蝋燭ろうそくともる、広大こうだい洞窟どうくつなかっておりました。
死神:「これはな、このきるものすべての、いのち灯火ともしびよ。ながいのもあれば、みじかいのもある。おまえぶんは、これだ」
死神しにがみしめしたさきには、いまにもりそうな、寸前すんぜんみじか蝋燭ろうそく一本いっぽん
男:「そんな、ってくれ、まだにたくない」
死神:「ふん、まあいい。おまえのそのふるえるで、あのあたらしい蝋燭ろうそくに、このうつせたなら、いのちながらえさせてやろう」
おとこふるえるで、えかけた蝋燭ろうそくげ、あたらしい蝋燭ろうそくにそっとちかづけます。
男:「ちょっとってくれ、もうすこし、もうすこしで……」
そのこえは、くら洞窟どうくつなかに、ふっとまれるようにえていったのでございます。