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🏮 AI落語 (AI Rakugo)

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演目 Vol.6 ⚖️中堅

長屋の花見

Nagaya no Hanami / Cherry Blossom Party

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日本語 / ルビ:初級

【まくら】 え〜、一せきもうげますが。貧乏びんぼうというのはつらいようで、存外ぞんがい陽気ようきなものでございましてね。いならいなりに、知恵ちえ洒落しゃれってしまうのが、江戸えど長屋ながや住人じゅうにんたち。今日きょうは、そんな貧乏びんぼう長屋ながや連中れんちゅうが、お花見はなみすという、馬鹿馬鹿ばかばかしくもあたたかいおはなしを一つ、おいくださいまし。

【大家の誘い】 さる長屋ながやに、大家おおやさんがみんなをあつめました。
大家おおや:「おい、店子たなこ諸君しょくん、いいことをおもいついたぞ。明日あしたはみんなで上野うえのまで花見はなみそうじゃないか」
店子たなこ一同いちどう:「花見?そりゃあ結構けっこうですが、うちらにゃそんな余裕よゆうなんざありませんぜ」
大家おおや:「なぁに、心配しんぱいいらんよ。さけやらさかなやら、こっちで全部ぜんぶ用意よういしてやる。おめぇたちはただ、からだ一つでりゃいい」
そういて店子たなこたちは大喜おおよろこび。ところが翌日よくじつ、いざあつまってみると、用意よういされていたのは、なんともあやしげな代物しろものばかりでございました。

【お茶がお酒に】 大家おおやさんが得意気とくいげした徳利とっくりて、店子たなこの一にんくびをかしげます。
店子:大家おおやさん、これ……いろさけらしいですけど、においがどうも番茶ばんちゃじゃありませんか?」
大家おおや:「これ、大声おおごえうでない。番茶をうすいろめて、酒だとおもってめば、それでいいんだ。気持きもちの問題もんだいだよ、気持きもちの」
店子:「へえ、なるほど。じゃあこれは正真正銘しょうしんしょうめいなださけってことで」
大家おおや:「そうだそうだ、なだ生一本きいっぽんだ。さあ、遠慮えんりょなくおうじゃないか」
一同いちどうさかずきすと、まるで本当ほんとう名酒めいしゅでもいただくように、大袈裟おおげさつきでい、大真面目おおまじめかおでぐいっとやりました。

【たくあんが卵に】 つぎ大家おおやさんが重箱じゅうばこふたけると、なかには黄色きいろいものがならんでおりました。
大家おおや:「さあさあ、こちらはたまご黄身きみだけを使つかった贅沢ぜいたく卵焼たまごやふうのものだ、遠慮えんりょなくべてくれ」
店子:「へえ、いただきます……あれ?これ、なんだかポリポリして歯応はごたえがみょうですね。それに、このかおり、沢庵たくあんそのものじゃありませんか」
大家おおや:「これ、それをっちゃあおしまいだ。黄色きいろくて、四角しかくってあれば、もう立派りっぱ卵焼たまごやきだ」
店子:「なるほど、こっちのうす桜色さくらいろのは、さしずめ蒲鉾かまぼこってわけですかい?」
大家おおや:「そのとおりだ、大根だいこんかわだなんて野暮やぼなことはいっこなしだよ」
一同いちどうかお見合みあわせながらも、大真面目おおまじめかおで「これはこれは結構けっこうなおあじで」なんていながら、パリポリと沢庵たくあん頬張ほおばるのでございました。

【形だけの花見酒】 そうこうしているうちに、一人ひとりがすっかりったふりをして千鳥足ちどりあしはじめます。
店子A:「いやぁ、今日きょうぎたわい。おい、そこのわかしゅかたしてくれ」
店子B:「よしなよ、そんなの、たかが番茶ばんちゃぱいぱらやつがあるか」
店子A:「なぁに、こころってやつだ。せめてったふりぐらいはさせてくれ、そのほうが花見はなみらしいだろう」
べつ店子たなこ扇子せんすひろげて、こううたはじめました。
店子C:「え〜、はるのうららの……なんて、そういうことにしておこうじゃないか」
頭上ずじょうさくらだけは本物ほんもので、満開まんかいはなびらがはらはらとちてくるなか長屋ながや連中れんちゅうはすっかりかたちだけの花見酒はなみざけたのしんでおりました。

【サゲ】 しばらくすると、一人ひとり店子たなこ徳利とっくりかたむけて、しみじみとつぶやきました。
店子:「いやぁしかし、大家おおやさん、正直しょうじきはなし、これが本物ほんものさけだったらもっとよかったですがねぇ」
大家おおや:「これ、贅沢ぜいたくうでない。はなながらめりゃ、それで十分じゅうぶんじゃないか」
店子:「そりゃそうですが……あ、でも大家おおやさん、一つだけ、この番茶ばんちゃほう本物ほんものさけよりいいところがありますよ」
大家おおや:「ほう、なんだいそりゃ」
店子:「へえ、こいつぁいくらいくらんでもぱらわないうえに、なんとったって御代おかわりがきくときてる」
一同いちどう:「ちがいない!」
どっとわらごえこり、満開まんかいさくらした貧乏びんぼう長屋の花見はなみは、なんともにぎやかにれていったのでございます。