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演目 Vol.4 🔥エース

寿限無

Jugemu / The Long Name

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日本語 / ルビ:初級

【まくら】 え〜、一せきもうげますが。むかしから、子供こども名前なまえてぇものは、おやにとっちゃあ一大事いちだいじでございましてね。「どうか立派りっぱそだってくれますように」なんてぇ、あれもいい、これもいいと欲張よくばるのが親心おやごころってやつで。今日はそんな、名前なまえにまつわる馬鹿馬鹿ばかばかしいおはなしを一つ、おいくださいまし。

【和尚さんへ相談】 さる長屋ながやに、ちにったおとこまれましてね。父親ちちおやうれしくてうれしくて、いい名前なまえを付けてやろうと、近所きんじょ和尚おしょうさんのところへんでいきました。
父親:「和尚さん、和尚さん、ゆんべ女房にょうぼうおとこみましてね、なに縁起えんぎのいい名前なまえを付けてやりたいんで、一つかんがえちゃもらえませんか」
和尚おしょう:「そりゃあおめでたい。よし、それなら一緒いっしょかんがえてやろう」
てんで、二人してあたまをひねりはじめました。

【候補が次々と】 和尚おしょう:「まず寿限無じゅげむ、というのはどうだ。寿命じゅみょうかぎりがい、つまり長生ながいきするというめでたい意味いみだ」
父親:「そりゃあいい、それにしましょう」
和尚おしょう:「いや待て、五劫ごこうれ、というのもある。天女てんにょ三千年さんぜんねんに一羽衣はごろもいわをなでて、そのいわれてなくなるほどの、とおくなるようななが年月としつきという意味いみだ」
父親:「おお、それもめでたい、それもけましょう」
和尚おしょう:「まだあるぞ。海砂利水魚かいじゃりすいぎょ水行末すいぎょうまつ雲来末うんらいまつ風来末ふうらいまつ、これはみずくもかぜのようにきることのない、という意味いみ合いだ」
父親:「そりゃもう、どれもてがたい、みんなめでたい、みんなりました」

【全部つなげろ】 和尚おしょう:「こら、そんなに全部ぜんぶ気に入ってちゃ、ひとつにしぼれんだろう」
父親:「いえいえ、どれもてるにゃしい。和尚おしょうさん、いっそのこと、全部ぜんぶつなげて名前なまえにしちまってもいいですか」
和尚おしょう:「な、なに全部繋げるだと?いくらなんでもそれはながすぎるぞ」
父親:「なぁに、ながくたってかまいません、めでたい言葉ことばばかりなら息子むすこにとっちゃとくってもんです」
てなわけで、とうとう役所やくしょとど名前なまえというのが、「寿限無じゅげむ寿限無じゅげむ五劫ごこうれ、海砂利水魚かいじゃりすいぎょの、水行末すいぎょうまつ雲来末うんらいまつ風来末ふうらいまつところところ藪柑子やぶらこうじ藪柑子ぶらこうじパイポパイポぱいぽぱいぽパイポのシューリンガンぱいぽのしゅーりんがんシューリンガンのグーリンダイしゅーりんがんのぐーりんだいグーリンダイのポンポコピーのポンポコナーのぐーりんだいのぽんぽこぴーのぽんぽこなーの長久命ちょうきゅうめい長助ちょうすけ」という、大変たいへんなが名前なまえになったのでございます。

【大きくなって】 さて、その寿限無じゅげむくんもおおきくなりまして、近所きんじょ子供こどもたちとあそぶようになりました。ところがこの名前なまえながいもんだから、ぶのも一苦労ひとくろうで。あるのこと、寿限無じゅげむくんが友達ともだちあたまを、ぼうっきれでポカーンとなぐっちまいましてね、その友達ともだち、たんこぶをこさえて大泣おおなき。かされたおやが、寿限無じゅげむくんのいえまで怒鳴どなんでたまではよかったんですが。

【サゲ】 相手の親:「おい、寿限無寿限無、五劫の擦り切れ、海砂利水魚の、水行末雲来末風来末、食う寝る処に住む処、藪柑子の藪柑子、パイポパイポ、パイポのシューリンガン、シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの、長久命の長助のバカ野郎!うちのうちのどもを、なんてぇことしてくれたんだ!」
寿限無の親:「まあまあ、そうおこらずに。一体いったいうちの寿限無じゅげむ寿限無じゅげむ五劫ごこうれ、海砂利水魚かいじゃりすいぎょの、水行末すいぎょうまつ雲来末うんらいまつ風来末ふうらいまつところところ藪柑子やぶらこうじ藪柑子ぶらこうじパイポパイポぱいぽぱいぽパイポのシューリンガンぱいぽのしゅーりんがんシューリンガンのグーリンダイしゅーりんがんのぐーりんだいグーリンダイのポンポコピーのポンポコナーのぐーりんだいのぽんぽこぴーのぽんぽこなーの長久命ちょうきゅうめい長助ちょうすけが、なにをしたんです?」
相手の親:「それが、寿限無寿限無、五劫の擦り切れ、海砂利水魚の、水行末雲来末風来末、食う寝る処に住む処、藪柑子の藪柑子、パイポパイポ、パイポのシューリンガン、シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの、長久命の長助が、うちのあたまぼうなぐりやがって、たんこぶが……」
と、そこまで名前なまえつづけているうちに、あんまり時間じかんがかかったもんですから。
相手の親:「あれ?そういやたんこぶ、もうんじまったな」
名前なまえながすぎたおかげで、たんこぶのほうがすっかりなおっちまった、というのがこのおはなしちでございます。